伝染性単核球症にかかった場合、アンピシリンもペニシリンも、
皮疹(ひしん:発疹と同じ意味で、皮膚に赤い斑点が出来たりすること。)
が起こりますので使ってはいけません。
では、どんな治療薬が使えるのか?と疑問が残るかと思います。
残念ながら伝染性単核球症はウイルスによる病気ですので、抗生剤は効きません。
アンピシリンもペニシリンもβーラクタム系抗生物質と呼ばれる種類の薬です。
黄色ブドウ球菌や、溶連菌には効くのですが、
ウイルスにも効きませんし、マイコプラズマにも効きません。
よって、薬で伝染性単核球症を治そうものなら
対症療法(例えば、発熱に対して解熱剤を使用。)
くらいしかありません。
特効薬は無いし、実際、有効な治療法と言えば安静にすることくらいです。
伝染性単核球症は具体的にどんな症状なのか?
慢性化の危険性、感染経路などお話していきます。
初期症状は風邪と間違えやすいですが、微妙に違いがあります。
咳や鼻水はそこまで目立つことはありません。
1週間~1ヶ月間の長期間に渡る発熱(39度を超える高熱)、
倦怠感があり、普通の風邪とは違って発症期間の長さが特徴です。
潜伏期間にも違いがあり、風邪ならだいたい1週間以内、
伝染性単核球症なら1ヶ月~2ヶ月と長いです。
これらは原因となるウイルスの違いと言えると思います。
(風邪の代表的なウイルスは例えばライノウイルスで、
伝染性単核球症はエプスタイン・バーウイルスが主な原因です。)
「エプスタイン・バーウイルス?なんか難しい名前でやばそう…」
と思うかもしれませんが、別にそこまでやばくは無いです。
エプスタイン・バーウイルスは
ヘルペスウイルスに分類されます。
口唇ヘルペスとか性器ヘルペスとか言いますよね、
他にも子供がかかりやすい水疱瘡(みずぼうそう)とか
肺炎のサイトメガロウイルスもヘルペスウイルスです。
通常は2~3ヶ月で症状は自然に無くなります。
稀にそれ以上長く症状が続き、予後不良
(治療の回復が見込めないこと)や非常に低確率ですが、
慢性化した場合は、難病の
「慢性活動性エプスタイン・バー(EB)ウイルス感染症」となる危険性もあり、
こうなると長期的にみると5割以上が死に至っているというデータもあります。
感染経路
伝染性単核球症の原因は多くはエプスタイン・バーウイルスによるものです。
他にはサイトメガロウイルスやエイズウイルスによっても感染します。
エプスタイン・バーウイルスであれば、体液感染が主です。
食べ回しや飲み回し、輸血や注射、中でもキスすることで
唾液による感染がほとんどで、「キス病」と呼ばれています。
高校生や大学生が発症することが多いです。
爆笑問題の田中さんも発症しましたから、
成人でも発症する可能性は十分にあります。
通常、10歳までに9割の子供はエプスタインバー・ウイルスに感染します。
たいてい無症状、もしくは風邪と間違える程度の
発熱や咽頭炎で済むが多いのです。
思春期以降に感染した場合は症状が出て、
伝染性単核球症と診断されることがあります。
一度エプスタイン・バーウイルスに感染すると「潜伏感染」といって、
一生このウイルスと共存することになり、場合によっては
様々な病気の引き金となることがあります。
次のページでは伝染性単核球症を予防する方法、
エプスタイン・バーウイルスを死滅させる対策、
最悪何科の病院にいけば良いのか?などお話しています。